#真相をお話しします「惨者面談」は家庭教師が登場する物語です。この記事では、あらすじ、ネタバレ、伏線などをまとめています。
あらすじ
家庭教師のアットホームでアルバイト中の片桐は社長の宮園から面談を依頼される。面談の相手は矢野悠という小学六年生だった。
面談当日、片桐は矢野家を訪れる。散乱したゴミ、埃まみれの自転車、開けっ放しの勝手口などから不穏な空気を感じつつも、片桐はインターホンを押す。どうやら、宮園との連絡が不十分だったらしく、母親には面談の話が通じていなかった……。

©新潮社/もりとおる・結城真一郎
ネタバレ
片桐は面談の相手が矢野悠と母親の矢野真理だと思っていましたが、どちらも別人でした。
片桐が矢野家を訪れた時に姿をみせたのは桂田圭子(かつらだ・けいこ)という女性です。桂田は近所に住む女性で、真理といさかいを起こしていました。
面談の日はゴミ出しで口論が始まりました。そして桂田が矢野家で真理を刺してしまいます。そこに居合わせたのが、小学六年生の少年です。桂田はこの少年を矢野悠だと考えていたようですが、実はこの少年も矢野悠ではなく、たまたま空き巣に入って殺人に遭遇した男の子でした。
本物の矢野悠は半年前に事故で亡くなっています。母親の真理は子供を失ったショックで正気を失ってしまい、子供が生きているように振舞っていました。つまり、宮園に面談を依頼したのは真理ですが、実際、矢野悠という子供は他界していたことになります。
矢野悠とは
矢野悠は<やの・ゆう>ではなく、<やの・はるか>と読みます。名前の読み方がわからなかった片桐はずっと<ゆう>君だと考えていました。桂田圭子は悠の読み方を知りません。偽の悠は読み方が『ゆう』であると話しています。
なお、片桐が悠の読み方に気付いたのは、部屋においてあった模試を偶然目にしたからです。その模試は本物の悠が受けたもので、名前には『はるか』とふりがなが振ってありました。
主人公の片桐が名前を尋ねたとき、偽の悠(空き巣の小学生)が『はるか』だと答えていたら、偽の母親もそれに合わせていたはずです。この場合、母親が子供の名前を間違えるという状況が発生しないため、片桐は母親が偽者であることを見抜けませんでした。
偽の悠が本当の読み方を知らなかっただけというわけではなく、偽の悠が偽の母親を追い詰めるためにあえて『ゆう』だと話したということが語られています。なお、偽の悠が読み方を知っていたのかどうかは明記されていません。
伏線
数多くの伏線が登場します。まとめると次のようになります。
- 『空き巣被害が頻発中』のポスターと矢野家の空き巣
- 散乱したゴミはカラスの仕業ではなく、加害者と被害者の争いが原因
- 埃をかぶった自転車は矢野悠が死んでいることを意味していた
- 男の子が風呂上りだったのは死体の移動を手伝った時に付着した血を洗い流したため
- 主人公が聞いた金切り声は被害者が殺された時に上げた悲鳴
- 主人公が20分も待たされたのは死体を処理していたから
- 加害者(桂田圭子)は手に付着した血痕を隠し、指紋を残さないようにするため、手袋を身に着けていた。
- トイレに入れなかったのは死体が隠されていたから
- 110という回答は110番、すなわち“警察に通報”を意味していた
- 本物の悠は私立の小学校に通っていたので、近所の公園で学校の友達と遊ぶことはなかった
- 男の子が片桐を引き止めたのは小野家の父親が海外赴任中で帰宅しないことを知ったから
- 男の子が黙っていたのは加害者がボロを出すと考えていたから
- 男の子は偽者だったのでピアノを弾けなかった
小説と漫画の違い
原作は同タイトルの短編「惨者面談」です。漫画は小説を忠実に再現しています。内容に違いはありませんが、小説は桂田恵子なのに対して、漫画は桂田圭子となっているなど、とても細かな違いがあります。
感想と考察
小説や漫画の場合、読み方が難しい漢字や人名にはルビがふってあります。しかし、この作品の矢野悠にはルビがふられていませんでした。ルビにもトリックが仕掛けられているのだと思ったりもします。なお、漫画は絵の中に矢野悠という文字を登場させており、読み方は書かれていません。

