相棒|つきすぎている女・あらすじ・ネタバレ解説【シーズン10第12話】

つきすぎている女』は2012年1月18日に放送された相棒season10の第12話です。かつて右京によって逮捕され、ついてない女と呼ばれた月本幸子に突如として幸運が訪れます。幸子の幸運の真相と、右京の不調の行方が交錯する、コミカルながらもシリーズの大きな転換点を描いた物語となっています。この記事では、あらすじ、登場人物とキャスト、ネタバレ、感想、余談などをまとめています。

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あらすじ

刑期を終え出所した月本幸子(鈴木杏樹)は、清掃業者での働きぶりが評価され、大手外食チェーン社長・間宮清彦(田中壮太郎)の専任家政婦となる。その後、豪華なマンションを寮代わりに与えられ、彼女の料理が新商品に採用されるなど、商品開発担当として正社員に昇格。ついには若き社長からプロポーズまで受けるという、まさに「つきすぎている」状況に。しかし、これまで「ついてない女」として生きてきた幸子は、この一連の幸運を不審に思い、「こんなについているはずがない」と杉下右京(水谷豊)に助けを求める。ところが、右京はなぜか幸子の訴えを取り合わず、いつになく調子が出ない様子でスランプに陥っていた。
業を煮やした幸子は、独自に真相を探り始め、そして、自身の部屋で前任の家政婦が残した「たすけて」というメッセージを発見する。さらに、間宮家の庭から前任家政婦・ユキ(荻野友里)の写真と、怪しい「天体構造学研究会」の名刺を見つけ、今度は伊丹(川原和久)に相談する。伊丹から過激な宗教団体「太陽のしもべ」の生き残りが関与している可能性を聞かされ、幸子は自身が生け贄にされると確信する。幸子は間宮の書斎に忍び込み、関連書籍を発見して警報ボタンを押し、間宮にナイフを向ける…が、そこに現れた謎の男によって間宮は殴り倒されてしまう。一方、右京は、大口顧客向けの梅干しが届く隣人・大崎智美(常石梨乃)の情報を元に、行方不明だったユキを見つけ出し、ついに事件の全貌が明らかになる。

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登場人物とキャスト

  • 杉下右京(水谷豊)
    特命係の警部。今回は珍しくスランプに陥り、調子が出ない。
  • 神戸尊(及川光博)
    特命係の警部補。右京の相棒。
  • 伊丹憲一(川原和久)
    捜査一課の刑事。
  • 月本幸子(鈴木杏樹)
    「ついてない女」として過去に右京に逮捕された経緯を持つ。出所後、数々の幸運に恵まれるが、それを疑い右京に相談する。
  • 間宮清彦(田中壮太郎)
    大手外食チェーン「間宮フーズ」の若き社長。幸子を専任家政婦として雇い、後にプロポーズする。
  • 間宮政二郎(野崎海太郎)
    清彦の父で、前社長。脱税に関わっており、その金の行方を気にする。
  • 藤原エイブラハム美佐男(古井榮一)
    新宗教「天体構造学研究会」の主宰。その怪しげな言動が幸子の疑念を深める。
  • 串田ユキ(荻野友里)
    間宮家の前任家政婦で、1年前に失踪したとされる女性。「たすけて」のメッセージを残した張本人。
  • 田村秀明(児玉貴志)
    かつて幸子と関わりのあった元城代金融の構成員。刑務所に服役中だが、幸子を心配している。
  • 大崎智美(常石梨乃)
    幸子の隣人で、信用金庫から高額預金者向けの品物が届く。
  • 間宮瑞貴(小山颯)
    清彦の息子。幸子に懐かない様子を見せるが、ある悪戯が事件のきっかけとなる。
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ネタバレ

月本幸子に降りかかった幸運は、実はすべて偶発的なもので、事件の核心とは全く関係ありませんでした。間宮社長からの厚遇やプロポーズは、幸子の仕事ぶりや人柄、そして外見への純粋な評価です。間宮は「天体構造学研究会」に入会していたものの、それは失踪した前任家政婦ユキの行方を探すためでした。書斎の失踪記事も同様にユキの手がかりを探すためのものです。
事件の真相は、間宮の父である政二郎が、脱税した大金を床下に隠しており、それを前任家政婦の串田ユキが窃盗して逃亡していた、というものでした。ユキは、自身の失踪が間宮家による事件だと誤解させ、追跡をかわすために、大崎智美に名義を借りて足立区に潜伏。盗んだ金を信用金庫に預けていました。政二郎が被害届を出さなかったのは、脱税が発覚することを恐れたためで、ユキの痕跡を庭に埋めていたのも、ユキが捕まって脱税が明るみに出るのを防ぐためでした。幸子の部屋にあった「たすけて」というメッセージや、愛犬ロッキーを「タッキー」と呼んだ悪戯は、すべて間宮の息子である瑞貴によるものでした。幸子を尾行していた怪しい男は、かつて幸子と因縁のあった田村秀明が、幸子を心配して依頼した見張り役でした。

結末

右京と神戸は、信用金庫が特定の顧客に梅干しを贈っているという情報から、大崎智美が高額預金者であることに着目し、智美の名義で借りられていた足立区内のマンションで、失踪していた串田ユキを発見します。ユキは間宮の父・政二郎の脱税金を盗んで逃亡していたことが判明し、事件は一見落着します。伊丹は「これほどくだらない事件はなかった」と呆れ、立ち去ります。
事件後、間宮家での家政婦の仕事を続けられなくなった幸子は、右京の勧めもあり、閉店していた「花の里」の二代目女将として新たな人生を歩むことになります。右京もまた、長年の習慣であった「花の里」が閉店したことでスランプに陥っていたことが判明し、幸子の女将就任によって「花の里ロス」から回復します。再開した花の里で、幸子が右京と神戸に出したお茶漬けが、梅と鮭が逆になっているというオッチョコチョイな結末で、エピソードは幕を閉じます。

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感想と考察

このエピソードは、月本幸子のキャラクターを前面に押し出したコメディ色の強い回でありながら、伏線回収も見事でした。幸運が続きすぎると人はかえって不審に思うという人間心理を巧みに描き出し、「ついてない女」が「つきすぎている女」になるという皮肉な展開が面白いです。右京のスランプという異例の事態は新鮮で、その原因が「花の里ロス」だったというオチは、長年のファンにとって心温まるサプライズだったのではないでしょうか。幸子の「花の里」二代目女将就任は、単なる事件解決以上の、キャラクターにとっての大きな転機であり、今後のシリーズにおける彼女の登場が楽しみになる結末でした。事件自体は殺人などではないものの、登場人物たちの感情や思惑が複雑に絡み合い、飽きさせないストーリーテリングでした。特に、幸子の料理の腕前や、服役中に調理師免許を取得していたという設定が、女将就任への説得力を与えていた点も巧妙です。

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余談

  • 月本幸子(鈴木杏樹)は、相棒シリーズにおいて「相棒4 第19話 『ついてない女』」、そして「相棒6 第11話 『ついている女』」「相棒6 第12話 『狙われた女』」に続いて、今回で四度目の登場となりました。
  • 田村秀明(児玉貴志)も、幸子と同様に過去の事件で登場しており、彼女に対する複雑な感情が描かれました。
  • 本作の脚本は、映画『ALWAYS 三丁目の夕日』や『リーガル・ハイ』で知られる古沢良太氏が担当しています。
  • ロケ地としては、ハローワーク王子(王子公共職業安定所)、間宮邸(STUDIO YOURS 成城スタジオ)、間宮フーズのビル(住友不動産千代田ファーストビル南館 )、太陽のしもべの修行部屋(東映東京撮影所)、千住信用金庫(城北信用金庫 日暮里中央支店)、田村が収監されている刑務所(前橋刑務所)などが使用されました。
  • 月本幸子が幸運を疑うプロットは、アーサー・コナン・ドイルのシャーロック・ホームズシリーズ『ぶな屋敷』を彷彿とさせるとの指摘も多いです。

作中の名言

  • 「体の具合でも悪いんですか?」「悪くありません。良くないのです」
    スランプ中の自身の状態を的確に表現する右京。
  • 「所謂、更年期障害ではないでしょうか?」「……それはないと思いますがね」
    不調の原因を米沢に相談する右京のコミカルなやり取り。
  • 「俺が出るまで待っててくれますか? 俺、此処を出たら、まともになって……姐さん迎えにいきます!」「それはないわ」
    田村の純情なプロポーズをばっさりと切り捨てる幸子。
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