ルーサン警部の犯罪・あらすじ・ネタバレ解説【刑事コロンボ38】

刑事コロンボ旧シリーズ【コロンボ】

刑事コロンボS6E1「ルーサン警部の犯罪(Fade in to Murder)」のあらすじ、トリック解説です。大人気テレビ番組でルーサン警部を演じる俳優が犯人のエピソードです。

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あらすじ(ネタバレ注意)

ウォード・ファウラーは強盗に変装し、買い物中の女プロデューサーを殺害。強盗殺人に偽装します。しかし、被害者の衣服に残った弾痕や凶器に残った指紋が証拠となり逮捕されます。
犯人のウォード・ファウラーは、テレビドラマでルーサン警部を演じる俳優です。朝鮮戦争では歩兵で、射撃の名手でした。被害者はファウラーのプロデューサーです。元恋人でもあります。ファウラーに目をつけ、人気俳優に育て上げた人物でもあります。ファウラーはプロデューサーに強請られていました。強請りのネタは、ファウラーが朝鮮戦争の脱走兵(逃亡兵)であるという事実です。人気俳優が実は脱走兵だった、というのはスキャンダルになります。
コロンボは、被害者の所持していた金目の物が盗まれていなかったこと、被害者はホールドアップしていたことなどを根拠に故殺を疑います。ファウラーは凶器に拳銃を使いました。この拳銃は撮影所の小道具です。拳銃を元の小道具置き場に戻す際、ファウラーは、被害者の夫が着ていた衣服の糸くずをつけます。夫に罪をなすりつけようとしたファウラーでしたが、拳銃に入っていた空包の指紋を拭き取り忘れます。この指紋が決定的な証拠となり、追い詰められたファウラーは自白します。

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登場人物とキャスト

  • ウォード・ファウラー(ウィリアム・シャトナー):人気刑事ドラマ「刑事ルーサン」でルーサン警部を演じる主役俳優。プロデューサーのクレアに過去の重大な秘密をネタに強請られており、彼女を殺害して強盗の仕業に見せかける計画を実行する。
  • クレア・デイリー(ローラ・オルブライト):テレビプロデューサーであり、ウォードをスターへ押し上げた功労者。一方で、彼の秘密を盾に多額の金を脅し取っていたが、デリカテッセンでウォードに射殺される。
  • コロンボ(ピーター・フォーク):ロサンゼルス市警察殺人課の警部補。トレードマークのよれよれコートと安葉巻を手に、鋭い観察眼でウォードの完璧なアリバイとトリックを突き崩していく。
  • マーク・デイヴィス(バート・レムゼン):ウォードの付き人。ウォードに睡眠薬入りの酒を飲まされ、腕時計の時間を狂わされることで、無自覚のまま偽りのアリバイ作りに利用されてしまう。
  • シド・デイリー(アラン・マンソン):クレアの夫であり、共同プロデューサー。ウォードの度重なるギャラ引き上げ要求に強い不満を抱いていたが、事件当夜は秘書と過ごしており容疑から外れる。
  • トニー(ティモシー・ケリー):クレアが立ち寄った食品店の店主。覆面をしたウォードにピストルで殴られ気絶させられるが、犯人が平均的な身長で、異様に落ち着いていたと警察に証言する。
  • モリー(シェラ・デニス):シド・デイリーの秘書であり愛人。シドの当夜のアリバイを証明する重要な証言を行う。
  • ジョンソン刑事(ウォルター・ケーニッグ):事件発生直後の食品店の現場検証を担当した警察官。コロンボとともに第一発見状況を整理する。

トリック解説

犯人は強盗に変装し標的を殺します。アリバイを作るため、付き人とビデオテープを利用します。さらに、罪を被害者の夫になすりつけようとします。

強盗殺人偽装

犯人は、覆面を被り強盗に変装します。そして、店で買い物中の標的を襲います。殺人の筋書きは、被害者は逃げようとしたので撃たれた、です。

  • 店主は銃で殴って気絶させます。
  • 変装に使った覆面や服は、撮影所の衣装を使います。
  • 凶器の拳銃は撮影所の小道具です。空包(火薬が少ない弾丸)が入っています。

アリバイ工作

睡眠薬、野球中継、賭け、ビデオテープ、時計を使って付き人を騙し、アリバイを捏造します。

  • 犯人の自宅で、付き人とテレビで野球を観戦します。野球中継はビデオテープに録画します。この時、犯人は付き人と野球で賭けをします。
  • 野球観戦の最中に、付き人に睡眠薬入りの酒を飲ませ眠らせます。眠っている間に犯行を済ませます。
  • 犯行後、帰宅し、ビデオテープを使って、付き人が眠った直後の映像をテレビに映します。賭けの勝敗が、この映像でわかる仕組みです。さらに、部屋の時計や付き人の腕時計も時間を遅らせておきます。
  • 付き人を起こし、ほんの少し眠っていたと話します。そのまま、ベッドへ連れて行き、眠らせます。時計は元に戻します。

罪のなすりつけ

凶器に被害者の夫が着ていた衣服の糸くずを残します。

犯人のミス

コロンボが犯人を追い詰める証拠です。

ちぐはぐな証拠

強盗殺人とは思えない矛盾する証拠などです。

金目のもの

被害者のクレジットカード、わに革のバッグ、ダイヤの指輪は盗まれていませんでした。犯人は強盗である、しかし、金目のものを残していった、は矛盾します。
犯人のファウラーはそれぞれ理由を説明しています。クレジットカードは殺した被害者の名前が入っているから金にしにくい、ハンドバッグは古くてくたびれていた、ダイヤの指輪は抜けなかった、です。

正確な射撃

被害者が逃げたため逆上した強盗犯が銃を撃った、はずですが、被害者は一発で心臓を射抜かれていました。10mも離れた逃げる被害者の心臓を撃ち抜くには、相当な熟練者でないと不可能です。両手を上げながら逃げるという状況は不自然です。

衣服の弾痕

被害者が着ていたドレスと体の弾痕は、上下に位置がずれていました。このことから、被害者は撃たれる直前、ホールドアップしていたことが明らかになります。両手を上げながら逃げるという状況は不自然です。

犯行の証拠

偽装工作を裏付ける証拠です。

付き人の腕時計

犯人はアリバイを作るため付き人の腕時計を遅らせました。その後、元の時間に戻しましたが、付き人は腕時計を常に5分進めていました。

覆面の化粧

覆面には、俳優がつける男性用化粧品が付着していました。付着していた化粧品は4種類でした。一般の女性が、男性用を使ったとしても、4種類も使うというのは考えられません。両手を上げながら逃げるという状況は不自然です。

空包の指紋

小道具の拳銃には空包が装填されていました。犯人は実弾と入れ替えるため、空包を触りましたが、指紋を拭き取るのを忘れました。この指紋が決定的な証拠となり、ファウラーは自白します。

感想

強盗殺人を偽装する場合は金目のものを奪うだけ、という偽装がほとんどです。しかし、今回のエピソードは強盗犯になりきって犯行に及んでいます。ルーサン警部の靴を履き、帽子をかぶり、ご満悦なコロンボがお茶目でした。原題は「Fade in to Murder」(殺人へフェードイン)です。「ルーサン警部の犯罪」は原題とは異なったタイトルです。
本エピソードは、コロンボファンの間でも「楽しさ」「メタ的な遊び心」において非常に高い評価を得ています。何と言っても、ピーター・フォークとウィリアム・シャトナーという二大スターの共演、そして劇中での彼らの抜群の仲の良さや、アドリブを交えた親密なやり取りが観ていて本当に微笑ましいと大好評です。また、現実世界でピーター・フォーク自身が制作側と繰り広げていた高額なギャラ交渉のトラブルを自虐的な「楽屋落ち」のセリフとして作中に忍ばせている点も、当時のテレビ業界の空気感を知る視聴者にはたまらないスパイスとなっています。一方で、物語の中盤以降、犯人であるウォードが完全に「ルーサン警部」としての立場になりきり、コロンボと一緒に「ウォード・ファウラーは怪しい、なぜなら…」と自分を容疑者に見立てて推理ごっこを始める展開は、賛否が分かれています。その風変わりでシュールな展開を「これまでにない心理戦」として楽しむ声がある一方、「ミステリーとして不自然すぎる」「犯人が現実と虚構の区別を失っており、少し狂気じみていてついていけない」と困惑する声もあり、非常にユニークでアクの強い作品として位置づけられています。
ドラマの内容を、殺人の計画性、偽装工作、犯人のミス、動機、凶器、トリック、コロンボの罠で簡単にまとめます。

項目 内容
殺人の計画性 あり
偽装工作 強盗殺人を偽装
ミス 衣服の弾痕
動機 強請り
凶器 拳銃
トリック ビデオテープ
コロンボの罠

海外口コミ

海外サイトの口コミには、TV、great、goodなどが書き込まれています。

余談

犯人は、覆面を被り強盗に変装します。そして、店で買い物中の標的を襲います。殺人の筋書きは、被害者は逃げようとしたので撃たれた、です。

  • ピーター・フォークの愛妻がコロンボシリーズ初登場:シド・デイリーの愛人であり秘書のモリーを演じたシェラ・デニス(シーラ・ダニーズ)は、ピーター・フォークの実の妻です。彼女は本作を皮切りに、コロンボシリーズの計6作品に異なる役柄でゲスト出演しており、夫婦共演の歴史の第一歩となった記念すべき作 品でもあります。
  • スタジオに設置されたばかりの『ジョーズ』のサメ:劇中、コロンボがユニバーサルのスタジオ内を捜査する際、水の中から飛び出してくるサメの模型を見て「ジョーズのサメだ!」とはしゃぐシーンがあります。映画『ジョーズ』は前年の1975年に公開されて大ヒットしており、ユニバーサル・スタジオにできたばかりの新しいアトラクションの宣伝も兼ねて本編に登場させた、遊び心満載の演出です。
  • コートについたチョークの丸印(有名な編集ミス):ジョーズのサメを見てコロンボがはしゃぐシーンですが、よく見るとコロンボのレインコートの背中には、すでに検証用の「チョークで描かれた白い丸印」がついています。しかし、劇中でウォードにチョークで背中に丸を描いてもらうのは、その後のシーンです。撮影の順序と編集の不整合によって生じた、シリーズファンの間で非常に有名な「イースターエッグ(編集上の段取りミス)」です。
この記事を書いた人

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