『ファミコン探偵倶楽部 うしろに立つ少女』はファミコン探偵倶楽部シリーズの2作目で1989年に発売されました。2021年にはリメイク版も発売され、続編となる『笑み男』が2024年8月に発売されました。本作はシリーズ第1作『消えた後継者』の2年前、主人公が空木探偵事務所の助手になった ばかりの頃の物語が描かれており、ストーリーは「学校の怪談」をモチーフにした心理的ホラー色が強いミステリーとなっています。この記事では、あらすじ、ネタバレ(犯人や動機など)、そして、考察などをご紹介しています。
あらすじ
空木探偵事務所の助手である主人公は、丑美津(うしみつ)高校の生徒である小島洋子が殺された事件を捜査することになる。死んだ洋子は殺される前、「うしろの少女」という学校の怪談話を調べていたようだが、殺人事件との因果関係ははっきりとしなかった。
さらに調査を進めると、“うしろの少女”の噂話が広まった15年前、丑美津高校である女子生徒が行方不明になっていることも明らかになる。その生徒は、15年前に起きた金田殺人事件に巻き込まれ行方不明になっていた……。

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登場人物
- 主人公(CV:緒方恵美)
離れ離れになった両親を探すため旅をする15歳の少年探偵。空木俊介に拾われ助手として働くことになった。 - 橘 あゆみ(CV:皆口裕子)
主人公の相棒として事件解決に協力する丑美津高校1年生。殺害された洋子の親友であり、「探偵クラブ」のメンバー。聡明で心優しい少女。 - 空木 俊介(CV:各務立基)
空木探偵事務所の所長で、主人公の師匠にあたる人物。警察からの信頼も厚い敏腕探偵。15年前の「金田事件」の捜査を担当し、主人公に洋子殺害事件を託す。 - 小島 洋子(CV:石見舞菜香)
事件の最初の被害者。あゆみの親友で、「うしろに立つ少女」の噂を調べていた。 - 日比野 達也(CV:三木眞一郎)
丑美津高校の英語教師。洋子の担任で、教え子の死に大きなショックを受けている。物静かな印象で、浦部校長を深く慕っている。 - 浦部 忠志(CV:大塚明夫)
丑美津高校の校長。生徒や教職員から絶大な信頼を得る教育者として知られている。しかし、不審な男との接触が目撃されるなどしている。 - 田崎 敏夫(CV:楠大典)
丑美津高校の用務員。元左官屋で、温厚な反面、激情的な性格を持つ変わり者。 - 河合 ひとみ(CV:小山力也)
丑美津高校1年生で、自称「丑美津高校番長」。主人公を不審人物だと思っている。 - 浅川 しのぶ(CV:市ノ瀬加那)
15年前に失踪した丑美津高校の女生徒。「うしろに立つ少女」の噂の元凶。金田事件とも関わっている。
事件の概要
事件の謎を整理しておきたいと思います。まず、小島洋子は首を絞められ殺され、川に投げ捨てられました。他殺であるのは間違いないようですが、洋子を殺した犯人はもちろん、動機や手口(いきさつ)なども不明です。
〈うしろの少女〉の話は、金田事件で行方不明となった丑美津高校の生徒、浅川しのぶが噂の元になっています。
洋子は、「私のうしろに少女がたっている」という不思議な夢を母親に話して死んでいます。このことがきっかけとなって、主人公は“うしろの少女”の調査を始めますが、それぞれがどのように繋がっているのかはわかりません。
さらに15年前に起きた金田源治郎(かねだげんじろう)の殺人事件も、犯人は明らかになっていません。当時、容疑者だった内田輝彦(うちだてるひこ)は自殺しています。この殺人事件の時効が迫っており、実は、空木探偵が捜査を進めています。
真相(ネタバレ注意)
以下、事件の真相や犯人など、ネタバレとなっています。
事件の調査が進むと、金田源治郎殺しの容疑者が用務員の田崎であること、田崎のアリバイを校長の浦部が証言していること、そのアリバイを崩す証言があることなどが明らかになります。
しかし、田崎は、金田と洋子の殺しの犯人ではありません。嘘のアリバイ証言をした浦部校長を守るため、ほんとうのことを話していませんでした。
- 学校をうろつく男
浦部校長と一緒にいた男は金田事件で殺された源治郎の息子である金田五郎です。五郎は浦部を強請っていました - うしろに立つ少女の噂を広めた人物
葉山久子(はやま・ひさこ)という教師が「うしろに立つ少女」の噂を広めていました。葉山は丑美津高校の卒業生であり、金田が殺されたとき学校にいました。そして、葉山はセーラー服を着た「うしろに立つ少女」を目撃します
犯人
浦部校長は金田源治郎、五郎、小島洋子の殺害の罪を自供するような遺書を残し自殺します。しかし、浦部校長は犯人ではありません。真犯人は洋子の担任の日比野達也(ひびのたつや)です。
- 源治郎殺し
当時、高校生だった達也(内田達也)は、父親の輝彦が源治郎に騙されたことを恨み、源治郎を殺害しました。達也はこの時の姿を浅川しのぶに目撃されます - しのぶ殺し
殺人を目撃したしのぶは、その場から立ち去ります。しかし、浦部の運転していた車にはねられます。浦部は電話で達也の犯行を知り、車で殺人現場に向かっている途中でした。浦部が事故を起こしたとき、しのぶはまだ死んでいませんでした。そのため、浦部が学校へしのぶと達也を連れて行ったあと、息を吹き返しました。このときの姿が「うしろに立つ少女」の幽霊です。なお、その直後にしのぶは達也によって殴り殺されます - 洋子殺し
洋子は日比野に殺されました。日比野の殺人に気付いた洋子は日比野を問い詰め、殺されてしまいます。洋子の死体を川に投げ捨てたのは、校長の浦部です。浦部は罪を被るつもりでした - 五郎殺し
源治郎の息子である五郎を殺したのも日比野です。金がなくなってきた五郎は源治郎殺害の時にみかけた黒い車(浦部の車)をネタに、浦部を強請っていました。このことを知った達也が激昂し、五郎を殺害します - しのぶの死体の隠し場所
しのぶの死体は学校の鏡の裏にありました。洋子があゆみに言った「うしろ」というのは、鏡に映ったあゆみの後ろ、という意味でした - イニシャルの真相
五郎の殺人現場に残されていた万年筆には、T.Uというイニシャルが掘られていました。これは、日比野達也のものであり、浦部が彼に送ったプレゼントでした - 浦部と達也の関係
浦部は日比野達也の父親でした。浦部は幼い達也を友人の内田家に預けていました
考察
しのぶの幽霊について考察します。しのぶの幽霊がうしろに立つ少女の幽霊話になっているわけで、状況をまとめると以下のようになります。
- 達也と葉山が学校でしのぶを目撃している(達也はしのぶのすぐそば。葉山はやや離れた所から目撃)
- しのぶは車にひかれたため、瀕死だった
- 達也は学校でしのぶの頭を殴ったと証言
- しのぶの死体の頭部には殴打の跡が残っていない
しのぶが死んだタイミングで場合分けして、考察をすすめます。
- しのぶ即死
車の事故で、しのぶが即死していた場合、達也と葉山が目撃したしのぶは幽霊ということになってしまいます。「殺人の直後だったため達也は錯乱状態だった」「葉山は夜の学校に怯えていた」というように考えれば、幽霊をみてしまうような心理状態だったのかもしれません(女子高生が夜の学校を怖がっていたというのは、そんな年頃でもないので、無理があるように思います…しのぶちゃんは超怖がりだったかもしれませんが) - しのぶ瀕死
車の事故のあと、しのぶが瀕死状態でまだ息が合った場合、達也の証言が嘘もしくは勘違いです。人を殺してしまった達也は正気ではなかったはずです。つまり、「頭蓋骨にひびが入るほど強く殴った」という証言が虚偽です。達也が殴っていないとすれば、息を吹き返したしのぶは、その後、自然と息を引きとったことになります。幽霊だったというよりは、こちらの方が現実味があります
レビュー
- 怪談と殺人事件という二重構造のミステリーは、プレイヤーの思考をミスリードし、予測不能な展開で引き込みます。日比野と浦部校長の関係、そして彼らの行動の裏にある「親子愛」とも言える悲劇は、単なるホラーに終わらない深い感動と切なさを残します。
- Switch版『ファミコン探偵倶楽部 うしろに立つ少女』は、過去作のファンはもちろん、未プレイの新規層にも自信を持って勧められる傑作アドベンチャーゲームです。巧みなストーリーテリング、緻密なキャラクター描写、そして現代の技術で蘇った恐怖演出は、間違いなく忘れられないゲーム体験になるでしょう。

