森博嗣「女王の百年密室(GOD SAVE THE QUEEN)」のあらすじ、真相、感想、考察です。百年密室はM&Rシリーズ(百年シリーズ)の1作目となります。
あらすじ
2113年10月。ライターのサエバ・ミチルはウォーカロンのロイディとともに、ルナティック・シティを訪れます。
その街は、塀に囲まれ、数百人程度しか生活していませんでした。街から出ていく者はおらず、来訪者もほぼいません。外界から完全に遮断されたこの街は、それでも、とても豊かでした。
ルナティック・シティには、とても美しい女王デボウ・スホが君臨していました。デボウや街の人々は神の存在を信じており、ミチルはその神によって導かれたと伝えられます。街には、過去に、マノ・キョーヤという男も、神の予言に導かれ街を訪れていました。ミチルはマノ・キョーヤに殺されかけた過去があり、彼に復讐を誓っていました。
マノのことを意識しながらも、ミチルは歓迎パーティーに出席します。パーティーの最中、王家の一人、ジュラ・スホ王子が何者かによって扼殺されます。ジュラの近くにいたデボウ達は、なぜか、何も見ていないと証言します。

登場人物
- サエバ・ミチル
主人公。職業エンジニアリング・ライター。20代。性別不詳 - ロイディ
旧式のウォーカロン(ロボット) - マノ・キョーヤ
ミチルの因縁の男。日本人 - サラ・フォトラ
マノと一緒に暮らす女。ルナティック・シティの住民 - デボウ・スホ
ルナティック・シティの女王。52歳 - ジュラ・スホ
第一王子。何者かに殺される - ササン・スホ
第二王子 - クロウ・スホ
王女。デボウの後継者 - アジ・バウ
街の代表者(リーダー)。インド系 - リン・バウ
アジの娘 - ユウイ・ナナヤク
代表者補佐。ユダヤ系 - シンカ・ワング
デボウの世話役 - カイ・ルシナ
若い医者 - マイカ・ジュク
老人。130か155歳。ミチルにバナナを渡す。ヨーロッパ系白人とアフリカ黒人の混血
事件のまとめ
物語で起きた事件の概要や謎を整理します。
まず、ジュラ王子の首には扼殺の跡が残っていました。ミチルは殺人を疑いますが、街の人々は事件を一切調査せず、真相を確かめようとしません。ジュラ王子殺害についてまとめると下記のようになります。
- 密室
ジュラ王子は女王の部屋で殺されました。出入口となる場所には、人がいたり、鍵がかかったりしていました - 目撃証言
事件発生時、王子の近くには女王がいました。出入口となる場所にはクロウやシンカもいました。彼女達以外の人物がいたことを示す証拠(リボン)が見つかりますが、誰もが「何もみていない」と証言します。
ミチルはルナティック・シティで、3回騎士に遭遇します。光る仮面を身に付けているのは、1回目と3回目です。ミチルには騎士ではなく死神とも呼ばれています。遭遇の時期は以下の通りです。
- 1回目
マノ・キョーヤとルナティック・シティで初めて会った後です - 2回目
シンカ・ワングを脅して女王デボウと話した時です - 3回目
2113年最後の晩餐会です
その他にも、謎めいたことがいくつかあります。
- ミチルとマノ
ミチルはマノ・キョーヤを追っていました。二人の間に何があったのか、具体的に語られるのは、物語終盤です - 予言
ミチルとマノの来訪は女王によって予言されていました。女王はルナティック・シティの人々が信じる神のお告げだと、話します。予言通りになるのが不可解です。ミチルとマノの再会も偶然ではなさそうです - ルナティック・シティの秘密
平和で豊かな街ルナティック・シティには謎が多いです。具体的には、創設者、建設の目的、なぜ誰も訪れないのかなどです
ネタバレ
ルナティック・シティの神はマイカ・ジュクです。女王はマイカ・ジュクの言葉を予言として伝えていました。ジュラ王子を殺害した犯人、マノ・キョーヤとサエバ・ミチルを引き合わせた人物、街の創設者、仮面の騎士――すべてジュラ王子の父親であるマイカ・ジュクです。ジュラ王子殺害の動機は、王子が母親であるデボウ・スホ女王を愛してしまったからです。
トリック
犯人のマイカ・ジュクは鍵がかかっていた冷凍室への扉を開けることができました。そして、騎士の姿になると、誰も目撃証言を話しません。街の住民全員が嘘をついている、誰かをかばっているような状態になります。
騎士は住民にとって神です。住民達は「目にすれば失い、口にすれば果てる」と信じています。そのため、住民達は神を見ることも、語ることもありません。
ミチルは3回騎士(神)と遭遇しています。ジュラ王子殺害時を含めると、騎士は4回登場します。騎士の姿をしたことがある人物は、マイカ・ジュク、カイ・ルシナ、マノ・キョーヤの三人です。
- 王子殺害時
これはマイカ・ジュクです。リボンを落としますが、記憶にないとのことです - 1回目
ミチルがルナティック・シティで初めてマノ・キョーヤと会った後です。これは、光る仮面をつけたマイカ・ジュクです(マイカ・ジュクは光る仮面をつけません。しかし、一度だけ、ミチルのために仮面をつけています。光る仮面が登場するのは1回目と3回目です。3回目はカイ・ルシナなので、1回目がマイカ・ジュクです) - 2回目
シンカ・ワングを脅した後です。仮面はつけていないのでマイカ・ジュクです - 3回目
晩餐会の最中です。医者のカイ・ルシナです
その他の真相
ルナティック・シティは、かつて世界一の資産家だったマイカ・ジュクがビー・ジーというミュージシャンと共に出資して、建設しています。建設の目的は長生きのためでした。
- マノ・キョーヤの正体
連続殺人鬼 - サエバ・ミチルの正体
マノ・キョーヤによる連続殺人の被害者です。恋人のクジ・アキラと一緒にいるところを襲われます - ミチルの性別
もともと、サエバ・ミチルは男性で、クジ・アキラは女性でした。マノの事件でミチルの心臓や内臓は死にましたが、頭脳だけは生き残りました。一方アキラは、体が無事でした。ミチルはある研究所の協力のもと、ミチルの脳でアキラの体を動かすようにしました。つまり、マノの事件後、サエバ・ミチルの肉体は女性になっています。なお、ミチルの脳はアキラの体に入りきらなかったため、ロイディの中にあります
マノ・キョーヤとサエバ・ミチルには因縁があったわけですが、ふたりがルナティック・シティを訪れたのは、たまたまではありません。マイカ・ジュクの計画です。
マイカ・ジュクは平和な街で殺人鬼のマノがどのように変貌するか実験するため、彼を街に導きました。さらにマノはミチルを導くエサでもありました。サエバ・ミチルはルナティック・シティの神になるはずの存在で、ミチルがマノを殺せば、街から出られなくなります。なお、サエバ・ミチルの肉体は女性だったため、神にはなれませんでした。神になる条件は男性であることだからです。
結末
サエバ・ミチルはマノ・キョーヤを殺します。殺害後、マイカ・ジュクから真相を聞いたミチルはルナティック・シティを立ち去る決意を固めます。
ミチルはユウイ・ナナヤクに見送られ街のゲートを出ます。ゲートを出た直後、ミチルはマノと一緒に暮らしていたサラ・フォトラに銃で撃たれます。
撃たれたのはクジ・アキラの肉体で、ロイディ、つまりミチルの脳は無事でした。ミチルとロイディはアキラの肉体の修理について話し合いながら、ルナティック・シティを後にします。
感想まとめ
「女王の百年密室」の感想としては、SF・ミステリー・ファンタジー要素、全て独特、不思議な世界観、世界観好き、などがよく書き込まれています。
四季シリーズの「冬」やWシリーズとの繋がりを感じている方も多いです。
下の画像は、感想・レビューでよく使われた言葉をまとめています。言葉と言葉を結ぶ線はその言葉が同じ文で使われたことを意味しています。

| レビュー数 | 文章数 | 異なり語数 |
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